2008年5月 7日 (水)

期待はずれ

「どこまでいくんすか?」

「確かこの辺だった気がしたんだけどな」

がさがさと森の中を進む。

しかし、目的地は一向に現れなかった。

「もしかして、迷ってるんですか?

先輩、ダサいっす」

「そんな奇抜な格好をしてるお前にはダサいといわれたくないよ。

どうにかならないのか、それ?」

後ろを歩いている後輩へと目を向ける。

すると、そこには目がチカチカするような蛍光色。

人ごみにこいつを放り込んでもすぐに発見できることは間違いなかった。

「これは芸術っす。

敬愛する先輩に言われても、これだけは変えられないっす」

「まあ、いいけどね。別に嫌ってわけじゃないし」

損するのは俺じゃないしな。

心の中だけで告げる。

「あっ、見えてきたぞ。

あそこだ」

「・・・・・・・・・・」

鬱葱と生い茂る森の中で、嘘のように開けた野原。

形は球形。

昔からここだけには来ちゃいけませんよ。と言われていた場所だった。

後輩もきっと知っていたのだろう。

言葉を無くしているようだ。

「ここって昔から好きなんだよ。誰も来ないし落ち着けるよな」

「来るわけないじゃないっすか?!

ここって”呪われた円”だの"宇宙人の住処"だのロクな噂がないところですよ!!!

先輩、なぜここにっ?!」

「えっ?ほら、あそこにほったて小屋があるだろ?」

指で指し示す。

そこには古びた建物。

「あそこで会ったんだよ。殺人犯」

後輩の顔色が真っ青になった。

「いないな」

「いないっす」

「その辺に白い骨みたいなのない?」

「あるわけないじゃないっすか?

というよりそれって白骨化してますよ?!」

古びたドアを開けると、そこは3ヶ月前となんら変わらず

小さな椅子が乱雑に何個か置かれているさみしい室内だった。

なんか、力が抜けたような感じがする。

あーあ、期待はずれもいいとこだ。

「帰るか?

それとも、ここでエッチィーことでもする?」

「しないっす。

いくら先輩の頼みでもそれだけは嫌です」

「なんだ、芸術とかなんとか大層なこと抜かしておいて

そういうところは普通なんだな」

「どう考えても集中できそうにないですもん。

それにゴム持ってきてませんし」

「そりゃ駄目だな。

準備が足りない後輩だ、まったく」

こんなことなら一人でこりゃ良かった。

せっかく連れてきた盾が使い道がないことが分かった。

「ひどいっす。

そういうものって普通男の人が用意するもんじゃないっすか?」

「そういう規定概念に囚われているから、お前はダメなんだよ。

もうここには用はなくなった。帰るぞ」

後輩は何か言いたそうな顔で僕を見ていたが、やがて諦めたように

僕へと従った。

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2008年5月 6日 (火)

そういや思い出した

そのことを思い出したのは3か月が過ぎようとした夏の日だった。

暑さのあまり動く気がせず、家でごろごろしていると、ブラウン管の向こうで聞き馴染んだ言葉の羅列が聞こえる。

”新垣市終後町で女性の白骨化死体が発見されました”

あぁ・・・僕の住んでる土地じゃん。怖い事件が身近で起きるものだな。

あくまでも傍観者の意見。

しかし、次の瞬間、思考が停止した。

画面に映し出された容疑者の写真。

それは、3ヶ月前に一緒に雨宿りをし、まともに聞こうともしない僕に独白をした男性だった。

マジかよ・・・。

ちょっとだけ驚く。

あのとき、言っていた言葉は本当だったんだ。

頭の中で彼が言っていた言葉が渦を巻いた。

「・・・・・あいつ、まだあっこにいるかも?」   

僕に下手な好奇心が芽生えた。

暇は人を冒険家にする。

今がまさにいい例だった。

僕はテーブルの上に無造作に置かれた携帯へと手を伸ばした。

一人ではなんか怖い。

けれど、誰かいれば心強い。

巻き込まれる友人には気の毒だけど、いざという時のために役立ってもらおう。

着信履歴に記された番号を探し当てると親指に力を入れた。

「・・・・マジっすか?」

「うん、大マジだよ。僕が嘘をついたことがあるか?」

3か月まえに彼がいた場所へと向かう道中。

学校で変態美女と名高い2歳下の後輩が頭を抱えながら歩いていた。

「まさか、土岐先輩といえども常識はあると思ってました。

まさか、殺人犯に会いにいこうとするなんて・・・・」

「会うだけじゃない。再会しに行くんだよ。

胸が高鳴るね、後輩よ」

「全然、高鳴らないっすよ。

ちょっと、脳みその神経おかしくなってないですか?」

失礼な言葉を浴びせながら、歩く。

この前のベットのなかでは「千夏はあなたのものです」とか言っていたくせに現実は違った。

軽い失望感を覚える。

「別に帰ってもいいよ。

けど、もう二度と話しかけないでね」

「ひどいっす。

そんなこと言われたら帰るに帰れないじゃないですか?!」

「帰れよ。

僕の行動についてこれないなら別に必要ないもん。

帰って灼熱の中の24時間オナニーにでもチャレンジじてな?」

「それは、ひどいっ!!

そんなことしなきゃいけないくらいなら、殺人犯に会っていたほうがましっす」

「だったら、文句言うな」

そんなこんなで話が弾んでいると、目的の場所が見えてきた。

そこは昼間だというのに真っ暗。

樹齢何百年といった木が生い茂る森。

町の景観には間違っても合わない。そこが僕らの目的地だった。

「・・・・なんで、わざわざここなんすか?」

「文句なら殺人犯に言ってくれ。

彼が別のところにいるのなら、そっちへ行くさ」

「・・・・・・・・そういう問題じゃない気がするっす。

地元の人たちでも近寄らない場所なのに?」

「富士樹海よりかはマシだろ?」

「やめる気はないみたいですね」

後輩は半ばあきれるような口調。

どうやら、諦めの境地に入ったみたいだった。

「ここまで来て帰るなんて選択肢はないな。

さっさと、歩け。そして、僕を守れ」

「本音はそれっすか?!

ヤルとき以外連絡を寄越さない先輩がハイキングに行こうなんておかしいと思ったっす。

騙されたー」

「騙してなんかないだろ。

失礼だな。嫌だったら帰ってもいいと言ってるじゃないか」

「そしたら、先輩、千夏を切り捨てるにきまってるっす。

そんなの嫌っすから。早く行きますよ先輩」

後輩は覚悟を決めたみたいだ。

細い細い道へと足を進める。

よし、これで防具は手に入れた。

僕は満足げに笑った。

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独白

「この3年間、私はずっと自分へ言い聞かせていました」

「私は私だと・・・それ以外ないんだと」

「しかし、気づくんです」

「いつだって、私はあいつに嫉妬してる」

「彼女が笑うたび」

「彼女が泣くたび」

「彼女に愛してると言われた時でさえ私はあいつのことを思ってしまう」

「あいつと彼女が演じた恋」

「それは今の私からみれば幼稚なものです」

「演じる・・・」

「その言葉がピッタリとはまるほど幼稚で子供じみている」

「しかし、あの時の彼らは本気だった」

「すべてを投げ出して」

「他にはなんにもいらなくて」

「お互いだけを見ていた」

「きっと、そこには何にもない」

「打算も計算も未来さえ見ていない」

「あいつの言った愛に嘘はなく」

「彼女が囁く愛にも嘘はなかった」

「それは近くで見ていた私が保証できる。」

「瞬く間に燃え上がり」

「すべてを灰に変えた」

「彼女とあいつが終わった時に僕は思いました」

「この先、私が彼女を手に入れたとしても」

「この瞬間をこえることはできない」

「どうしようもない絶望感とともに」

「私は彼女を愛したんです」

「なのに・・・・私はなぜ・・・・」

”彼女を殺してしまったんだろうか”

彼はそう言ったきり動くことをやめた。

項垂れ、視線を下げたまま一ミリたりとも動かない。

電池が切れたみたいだ。

その姿を見て僕は場違いな感想を覚えた。

このまま放って帰ろうか?

心の片隅でそんな声がした。

もし彼が言ってことが本当ならば、殺人犯以外の何物でもなかった。

関わりあうことで得られるものなどないことは想像できた。

害はあっても利はなし。

そんな関係、いらない。

僕は頭の中で整理をつけると、雨のなか飛び出した。

彼は相変わらず動くことはなかった。

僕はその姿を確認し、後ろを振り返るのをやめた。

やっぱり、雨宿りなんかするものじゃない。

心のなかで呟くと、人生の教科書にその一文を付け足した。

NEXT

未開封の箱

彼は言った。「彼女を愛していた」と。じゃあ、あなたはなぜ彼女を殺したんですか?

   

 独白    

       そういや思い出した    

                     期待はずれ

                              権力って便利だね

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・・・

2008年5月 1日 (木)

ご主人様の犬 12話

変な充実感を感じながら過ごす日々だったが、

僕の甘っちょろい目論見は大体うまくいかなかった。

揉めに揉め、琥珀が泣き叫び、また清次郎が暴れまわった。

しかし、そこで意外な活躍を見せたのが、メイドだった。

どうやら、元々の職種が法律関係だったらしく、チラチラ脅しをかけ、怯んだすきにおばさんが畳みかけるという見事なコンビプレイが炸裂した。

向こうも自らの家族の恥部を世間には出したくなかったみたいで、渋々だが納得したみたいだった

僕の考えていた展開とは丸っきり違ったけど、そうして、琥珀は自由になった。

どうやら、予定通りおばさんの家にお世話に決まったらしい。

この前、届いた手紙にそう書いてあった。

そして、僕はと言えば

もはや卒論だけのなった大学生活。

僕はだるさを感じながら、いそいそと大学へと出かけていた。

そんな僕に突き刺さるような日差しが降り注ぐ。

避暑地のはずなのに・・・・どうにも言えないような不満が胸をついた。

そして、上り坂。

「死ぬ・・・・マジで死ぬ」

喉の奥から血の味がした。

一刻も早く水分を取らないと本当に死ぬのかもしれない。

生命の危機を感じた僕は最後の力を振り絞り足を進めた。

「はぁー、はぁー。やっと、着いた」

長い長い階段を抜けて、ついたその先。

そこには、生意気そうな表情を浮かべた一人の少女が待っている。

「やっと、来たわね駄犬。

早く私の案内をしなさいよ」

「・・・・・水を飲んだらね」

終わり。

ご主人様の犬 11話

「えっと・・・・血が出てるね。

そして、これはコンクリートにぶつかった衝撃かな?

腕も動かないや」

僕は痛みが全身に走るのを感じたが、なんとか立ち上がる。

ふらふらする。

しかし、詰め切れてない。

気を失うわけにはいかなかった。

「シュウ!!大丈夫?!」

琥珀が血相を変えて走ってきた。

そして、僕の体を支える。

そんな状況を面白くないのだろう。

清次郎が大きく叫んだ。

「琥珀っ!!!

早くこっちへ来いよ。

前みたいにしてやっただろ?

また殴られたいのか?」

そんなことはできないと分かってないのだろうか?

清次郎はすでに駅員に抑えられ、身動きさえできなくなっていた。

しかし、琥珀は昔のことを思い出したのか体が震える。

「大丈夫」

「えっ・・・・」

「仕方無いな、お前は。

僕のご主人様だろ。大きく構えてろ」

ぼやける視界。

けれども、言うべきことだけはしっかりしていた。

琥珀は僕を驚いたように大きく瞳を見開き見つめる。

「警察に連絡してください。

そして、この温泉街にこの子のおばさんがいるので、その人にも連絡をお願いします」

「わかりました。宿の名前を教えてもらってもいいですか?」

僕は近づいてくる駅員へと宿泊先を教える。

駅員はメモ帳へとそれを書き記し、ホームへと走る去っていく。

「ふざけんなっ!!!

俺は兄貴なんだよっ。

捕まえるならそいつを捕まえろ」

清次郎の声が響き渡った。

しかし、誰も信じる者などいない。

余りにも風貌が違い過ぎていた。

そして、そんな清次郎は異常者にか見えなかった。

「琥珀、大丈夫か?」

僕の腕の中で震える存在へと声をかけた。

琥珀は僕の瞳を見返す。

「もう、これで大丈夫だ。

後は琥珀のおばさんがうまくやってくれる。

あいつは捕まるし、執行猶予になったとしても、家庭状況のことはすべて知れ渡る。

琥珀は自由だ。

だから、好きに生きるんだ」

琥珀は僕を見返したまま、動きはしなかった。

「君の味方はたくさんいるよ。

だから、好きな選択肢を選べばいいし、そこになんの遠慮もいらない。

好きに選べばいい」

「・・・・・・好きに選んでいいの?」

恐る恐る吐き出された言葉。

琥珀は僕から視線をそらさなかった。

「あぁ、好きに選べばいい」

僕は琥珀の頭を撫でながら、静かに抱きしめた。

きっと、琥珀を抱きしめることはこれからできなくなるだろう。

そのことが分かってるから強く抱きしめる。

向こうの親や清次郎が静かにすることなどないことは分かってる。

しかし、清次郎が僕へとしたことは傷害事件になる。

そして、今までの家庭内でのことも考慮にいれられることだろう。

僕はこのことを引き合いにだし、そして、おばさんもうまく立ち回ってくれる。

そしたら、少なくとも琥珀だけは自由になれる。

それだけでいいのだ。

それ以上のことは望まないくていい。


「じゃあ、好きに選ぶよ」

琥珀はそうほほ笑んだ。

その笑顔を見て思う。

もし僕がなんかの罪に問われ、僕の過ごしてきた小さな世界が壊れたとしても何にも後悔なんてしない。

僕はそんなことのために君の笑顔を失いたくなんてなかった。

腕のなかで震える小さな存在。

初めて考える前に動くことができた。損得勘定なしで体が動いた。

自分から何かをしてやりたいと思った。

冷静とか、未来とか考えるまでもなく琥珀を守ろうと思った。

それだけで見えるものが違う。

「好きに選びな」

「うん」

そうして、忙しい今日が終わった。

明日が始まるまでに時間はたくさんあるけれど、なんか満足だった。

最後の最後で君の本当の笑顔が見れた。

それだけでなんかもう充分だった。

NEXT

ご主人様の犬 10話

「何があったんですか?」

息を切らした駅員が僕らへと話しかけてきた。

きっと、善良な市民が知らせてくれたのだろう。チャンスとばかりにたたみかける。

「この子、僕の彼女なんですけど、そこの異常者が連れ去ろうとしてたんですよ。

それで、なんとかしようといたんですが、おかしいことばかり言うので・・・」

「あいつですか?!」

「そうです」

駅員が指示したのは兄貴。

「ふざけんな!!!!

俺は琥珀の兄貴だぞっ。おまえは誰だよっ?!」

「琥珀の恋人だよ。

なんだ、名前まで調べてあるのか・・・・本当に異常者だな。

お前の風貌をみて兄貴だとは流石に思えないよ。

すいませんが、あいつ捕まえてもらえますか?」

てめえ・・・・そういいながら兄貴が走ってくるのが見えた。

僕は予想とおりだったため、見えないふりをした。

震えからやっと状況をつかんだ琥珀が僕を見つめる。

危ない。

誰かが叫んだ。

しかし、よける気などさらさらなかった。

琥珀が前に出ようと動く。

だが、僕はその動きを止め、静かに立ち尽くす。

与えられる衝撃。

今までの人生では一度もなかったことが起きる。

コンクリートへと叩きつけられる感触がした。

「シュウっ!!!!!!!!」

琥珀の声が響いた。

NEXT

ご主人様の犬 9話

「何があった?」

「それが・・・・」

名前も知らないメイドが話しづらそうに口を開く。

「琥珀さんのお兄さんがいらして、先ほど駅へと向かいました」

僕はその言葉を聞いた瞬間、自分でも驚くほどあっさりと身をひるがえした。

景色が変わる。

宿から街へ、道から道へ。

あぁ・・・そうか。僕は琥珀を大事に思ってる。

そんなことを思った。

「いやだっ!離せっ!!」

息を切らせながら駅へとつくと怒声が響いていた。

だから、すぐに居場所は分かった。

「いいから、来い。

親も心配してんだよっ!!!!!」

「嘘だっ。あんな親お前のいいなりじゃないか。

どうせお前が、お前だけが心配できたんだ」

あれが琥珀の兄貴か。

遠目に見ただけでは分からなかった。

きっと、会話が聞こえてこなかったら、誰が見てもあれを兄貴だとは思わないだろう。

琥珀とは似ても似つかなかった。

まず体格が違う。

骨格が違う。

顔が違う。

そして、何よりも纏う雰囲気が違った。

いかにもな引きこもりの男。

親に甘え、自分に甘え、世の中に甘えてきたような男。

だらしない自らの姿を認めることを諦め、自らを愛してくれる存在に頼り切った男。

そんな奴が琥珀の手を強く握り、ホームへと導こうとしていた。

「いつものことだろ。

お前の携帯のGPSを調べてみて、湯河原にきてると思ったらまさか男連れだったとはな。

ふざけるなよ。

お前は俺のものだろ。

いい加減諦めろよ。

前、してやったことを忘れたのか?!」

「うるさいっ。うるさいっ、うるさい」

琥珀が耳をふさぐようにして体を丸め、意思を示していた。

辺りは騒然としている。

駅員が向かっているのが見えた。

「わがままを言うなよ。

親のことだったら俺がすべて言ってやるし、また家に住めるようにしてやるよ。

そしたら、いいだろ?

俺もお前も大満足じゃないか?

ほら、こいよ」

男が言う。

自分が望むように導こうと必死に。

けれど、それは琥珀が望む場所じゃない。

そんなことも分からないんだろう。

だから、僕は・・・・・・・

「お前みたいな豚が人間の手を握るなよ。

わずらわしい」

走ってきた勢いのまま、放った蹴り。

豚が空中を飛び、悲鳴を上げた。

NEXT

2008年4月30日 (水)

ご主人様の犬 8話

/

/

衝撃的な事実を聞かされ、ふらふらと歩く。

事実を受け止めるには少しだけ時間が必要だった。

いま、琥珀の顔を見て冷静な判断ができるとは思えない。

感情のまんま行動をおこしてしまっては後々困ることになるのは目に見えていた。

抱きしめたいと思う。

いくらでも頭を撫でで上げたいと思う。

さしてやりたいことはさせてあげたい。

琥珀が僕を望むなら、それでも構わない。

君がしたいことを言ってほしいと思った。

それで、君の傷が少しでも癒せるならば僕がなんだってするよ。

今の僕の心の中はそんな言葉でいっぱいだった。

けれども

きっと、それは同情からきたものだとも分かっていた。

そんな気持ち長くいたら消えてしまう。

何かあったとき、向かい風が吹いたとき

きっと藁の家の如く吹き飛んでしまうこと

そんなくだらない現実も分かっていた。

/

だから、僕は歩く。

冷静に、いつもの自分のように冷めた意見が出るまで歩こうと思っていた。

人から何と蔑まれようとそれがいつもの僕だ。

決断力もなくはないくせに判断力だけあるような情けない僕。

状況判断だけを繰り返し、他人と自分・・・・そんな距離だけをいつだって測ってる。

情けないけれど、認めたくないけれどそれが僕なんだろう。

だから、そんな自分になれるまで結論は先送りしないといけない。

琥珀を一生守る。

そんな決意ができるまで僕は待たないといけない。

待ち遠しい。

くだらない。

あぁ・・・ほんとにくだらない。

勢いだけで生きることができるなら、きっと今頃琥珀を抱きしめている。

そんな理想を夢見ていた。

しかし

/

「離せっ」

「いいからくるんだ。お前は俺のものだろ」

「違う、お前のものなんかじゃない。

私はお前のものなんかじゃない」

/

宿でそんな騒動が起きている。

その場面に僕はいなかった。

/

/

/

/

NEXT

2008年4月29日 (火)

ドラマ感想

先ほど見た「無理な恋愛」がとても楽しかった。

先週は原作が好きだったので「おせん」を見たのだが、

「あんな主人公いやなやつだったっけなー・・・」

といやになってしまい、途中で見るのをやめてしまった。

もっと原作のままでやってくれよ・・・。好きなものを馬鹿にされた気分だ。

さて、話は変わって「無理な恋愛」のことだが、昔よく見ていたドラマみたいな感覚を受けた。

懐かしいほんわかした世界。

ありそうでなさそうなストーリー。

練りこまれているのは、飽きなくていい。

キャスト重視が先行した今のドラマは見る気もしない。

やっぱ、ドラマって楽しくなるものがいいな。

「未成年」みたいな本当に練りこまれたメッセージ性が高いものならいいけど、

時代、時代で騒がれるDVだの政治だの流行りだけを重視した底の浅いものは見る気もしない。

疲れているのに、より一層疲れてしまう感覚。

本末転倒です。

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